2005年卒業
●制作活動歴:なし
◾️就業活動歴:現在は「感性に訴えかける石」をテーマに、レアストーンの買い付け・販売・オーダージュエリーのデザインなどを手掛けています。(個人事業主)
Instagram:@sanagem_sana
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大学卒業してからはや16年が経ちました。
色々ありましたが「自分が作りたいものはなんだろう」「自分は何がやりたいんだろう」という気持ちは常にありました。
どこかに所属し働き生きていくことへの違和感と、実際問題生きるためにどこかに所属し働かなければいけない(そのためには不本意も受け入れなければいけない)、という現実への矛盾感をずっと埋めたいと考えていました。
卒業後、京都造形芸術大学へ編入し、デザインの勉強を始めましたが、半年ほどで着物の会社に誘われ学校を辞め就職。かれこれ15年前。その頃、まだまだ世間はネットで買い物をすることが新鮮な時期でした。そこで高額な着物をネットで売ることを考えまくり、しかし挫折。
1年ほど働いたのち、地元に帰り、念願の広告デザイナーになりました。
ここでDTPのスキルを磨き、3年ほど働きました。
私は決まった枠の中に必要情報を効率的に入れ込んでいく、ということが得意だと気づきました。
その後、結婚し、パートで入ったのはパソコン教室のインストラクター。
大学時代に教職を取ることもしなかった私ですが、人に教えることはパズルを解くように面白いと感じていました。(なんせ「わからない」部分は十人十色、千差万別なんです)
パートで入ったはずが気づけば教室長、新規教室への立ち上げ・・・など計画実行をがむしゃらに行いましたが、5年ほどで燃え尽きて退職。その後、パートのデザイナー業に戻りゆったりと仕事し「このままこんな感じの一生でもいいかな」なんて思っていたのですが・・・
離婚することになり、途方に暮れ実家の新潟に帰ります。
精神的に追い詰められる中、行ったハローワークで過呼吸で倒れ……
その時心底思いました。
もう人に使われるのは嫌だ!
やりたいことをやりたい!
それから、明るい引きこもり生活が始まりました。
自由な引きこもりには、お金がありません。
なのでまずはメルカリでとにかく身の回りのものを売りまくる。
売るために必要なことを考えまくる。
そうすると不思議なことにパートで働いていた頃より収入がありました。
空いた時間にはキャンパスに向かって絵も描いたり、好きなだけ寝て、好きなだけ思いついたことをやる。
美術館やギャラリーもたくさん通って癒されていました。
この頃に、久しぶりに新潟で展覧会をされていた若月先生に再会しましたね。
これがかれこれ4年前ほどですが、その後、メルカリで始まった「メルカリチャンネル」という動画配信で売れるサービスがあり、ここでオリジナルのアイディア商品を売り始めました。
「メルカリ送料表」というA4、1枚の紙。
メルカリは送料込で出品するのがデフォルトですが、送料ってわかりづらいんです。
売りたいものが、いくら送料かかるのか。
その見積もりが甘いと、100円の利益を出すのも大変。
DTPデザイナーのスキルを全て詰め込み、見やすく、一瞬でわかりやすく、その送料表を見るだけでメルカリの出品が楽しくなって、たくさん不用品を売って少しみんなの生活が潤う。
そんな「紙」を作りました。印刷した紙は、ラミネート加工して600円送料込。
そして、パソコン教室のインストラクターの経験をもとに、「メルカリチャンネル」で送料の相談を受けながら明るく楽しく送料表を売ったのです。全国の人が送料表を便利だと思ってくれて、他セット商品など含め、1年間で約2000〜3000枚売れました。
ただ、送料表は1人で何枚も買うものではないので、必ず需要は底をつきます。
私の中で「送料表は1年続ける」と決めていたのですが、それが売れている間に次の手を考えていました。
送料表を売ったお金を使って、次に目をつけたビジネスは「天然石」です。
天然石は一つ一つがユニークで、綺麗で美しくて、地球の芸術品。
数百円から、何万円、何十万円というものもあります。
おかげさまで送料表の相談をたくさん乗っていたことでネット上で多少の「信用」を得ていた私は、仕入れられる範囲で自分の感性に合う天然石を見つけてきては販売することを始めました。
その後間もなく「メルカリチャンネル」は終了しましたが、今はInstagramに主戦場を変え、「sanagem」という屋号でネット販売をしています。
現在は「感性に訴えかける石」をテーマに、レアストーンの買い付け・販売・オーダージュエリーのデザインなどを手掛けています。(ジュエリー制作は専門の職人さんにお願いしています)
2021年はいよいよ法人化する予定。
今は一人でやっていますが、ちょっとずつ大きくして、コロナが落ち着いたら世界中に買い付けに行きたい……それが現在の目標です。
高いものをネットで売ろうとした着物屋さんの経験。
印刷デザイン物を自分で作れる広告デザイナーの経験。
教室運営、経理・簿記的な知識、お客様との信頼関係構築、そしてWordやExcelなど事務の基本ソフトを学べたパソコン教室の経験。
そして、美しいものを美しいと感じる「感性」の存在や、それを生み出す情熱、純粋な創作意欲をどう表現化していくのかを考える大切な時間だった大学時代の経験。
一見共通点のなかった散らばった点は、今すべてが曲線になって、活きている気がします。
頭の悪い学生だった私ですが、版画室で制作もせずうろちょろしては若月先生に呆れられていた青春時代は大切な思い出です。
若月先生、20年間、お疲れさまでした。どうかこれからもお元気で、更なるご活躍とご健康をお祈りいたします。